より良い眠りのために③ 睡眠薬使うより前に“眠れない原因”探る

城北病院 松浦健伸さん
不眠の治療には、認知行動療法が効果的とされています。薬物療法よりも優先的に適用します(慢性不眠症においては第一選択肢になります)。
認知行動療法は、不ゐ眠状態を維持してしまっている行動の習慣(くせ)に注目して、その行動の修正を図る心理療法の一つです。
例えば、慢性不眠症の場合、「眠れないのではないか」という恐怖心が続き、眠ろうと過剰に努力してしまいがちです。結果、より目覚めやすく(過覚醒)なり、それが寝床に入ると目がさえるという睡眠習慣につながると考えられています。
「眠れない」という患者さんの状態がどうして起きているのかを多面的に理解することが大事です。そして、睡眠日誌などをつけてもらいながら自分の睡眠を見直し、背景にある考え方や習慣に気づき、眠れる習慣に変えていきます。
睡眠前、腹式呼吸=息を吸う時におなかに力を入れ、吐く時におなかの力を抜く。3秒間息を吸い、2秒間止め、5秒間で息を吐く=や筋弛緩(しかん)法(ストレッチ)などのリラックスする工夫をします。眠くなってから寝床に入るようにしましょう。
そのほかに非薬物治療の睡眠スケジュール法として、睡眠効率(睡眠の質)を高めるために▽15分以上寝つけなければ、いったん寝床から出て、眠くなったら再度寝床に入る(刺激制御法)▽起床する時間をあらかじめ定めて、少しずつ寝床に入る時間を延長していく(睡眠制限法)などがあります。
【体の緊張をほぐす(筋弛緩法)】
【肩】両肩をグーッと上げて肩の筋肉に力を入れ、その状態を7秒間保つ。その後、一気に脱力する。肩の力が抜けてリラックスするのを感じる。
【手】わきを締め、手のひらが上になるよう両腕を前に出す。ギュッと力を入れて握りこぶしをつくづた状態を7秒間保ったあと、脱力する。
【腕】わきを締め、手のひらが上になるよう両腕を前に出す。ギュッと力を入れて握りこぶしをつくった姿勢から、両腕を胸に近づけるようにして、ギュッと力を入れて7秒間保ったあと脱力する。
昼寝の影響
高齢者の不眠の場合には、長い昼寝や頻回の昼寝が夜の睡眠の質を低下させている場合があります。その結果、死亡や認知機能低下のリスクを高めるという報告もあります。
1日8時間以上の睡眠をとっている場合、死亡リスクがあがる傾向がほかの年代以上にあるともいわれています。
高齢者は「8時間睡眠」にこだわらない方がいいでしょう。
高齢者になると、睡眠時間の減少、途中覚醒や早朝覚醒の増加、レム睡眠(目が動いている時期の睡眠)や深い睡眠相の減少などが見られます。これらは、脳や身体の老化が背景となっています。不眠を訴えていても、睡眠薬が適当かどうか検討しなければなりません。まず、日中は光を浴び、ウオーキングなどをして体を動かすなどしてみましょう。
身体疾患や薬の副作用が隠れている可能性もあります。認知症の発症に関連しているかもしれません。医師とよく相談してください。
【長時間労働で睡眠不足に】
働く人には、長時間労働による睡眠時間の不足が深刻です。不眠症というよりも、睡眠不足症候群であり、健康問題が生じ、過労死や過労自死の危険が生じます。
また、不眠症ではなく、生体リズムの乱れが原因の睡眠リズムの障害(概日リズム睡眠障害)による不眠があります。
不眠の背景は多様であり、労働環境や条件の改善なども欠かせないと思います。
次回は、不眠に関わる体の病気についてです。
「しんぶん赤旗」日曜版 2025年7月6日付掲載
睡眠前、腹式呼吸=息を吸う時におなかに力を入れ、吐く時におなかの力を抜く。3秒間息を吸い、2秒間止め、5秒間で息を吐く=や筋弛緩(しかん)法(ストレッチ)などのリラックスする工夫をします。眠くなってから寝床に入るようにしましょう。
そのほかに非薬物治療の睡眠スケジュール法として、睡眠効率(睡眠の質)を高めるために▽15分以上寝つけなければ、いったん寝床から出て、眠くなったら再度寝床に入る(刺激制御法)▽起床する時間をあらかじめ定めて、少しずつ寝床に入る時間を延長していく(睡眠制限法)などがあります。